10/10/2026
京都文化博物館フィルムシアター、ジャパニーズ・ロード・ムービー-旅する時代劇。10日は『春秋一刀流』(1939)。裏社会で一片の夢を抱き、身一つで懸命に生きる若者達。喧嘩出入りの度に名は上がるが、夢には一向に近づかない。裏街道で身を立てて行くには純粋すぎる若者たち、彼らの小さな夢は剣だけでは勝ち取れない。出入のたびに一人、また一人と死んで行く。制作当時、戦火の拡大する中、夢を抱いた若者達が召集され、戦場に向かう時代を背景に、“無念”というより“無常”を志向した本作は、観るものに深い感銘を与えた。京都帝国大学時代から菅沼完二監督の個人助監督を勤めていた丸根賛太郎は、日活京都撮影所入所4年目の初監督作品で山中貞雄の再来と評された。
京都文化博物館フィルムシアター、ジャパニーズ・ロード・ムービー-旅する時代劇。7日と10日は『春秋一刀流』(1939)。裏社会で一片の夢を抱き、身一つで懸命に生きる若者達。喧嘩出入りの度に名は上がるが、夢には一向に近づかない。裏街道で身を立てて行くには純粋すぎる若者たち、彼らの小さな夢は剣だけでは勝ち取れない。出入のたびに一人、また一人と死んで行く。制作当時、戦火の拡大する中、夢を抱いた若者達が召集され、戦場に向かう時代を背景に、“無念”というより“無常”を志向した本作は、観るものに深い感銘を与えた。京都帝国大学時代から菅沼完二監督の個人助監督を勤めていた丸根賛太郎は、日活京都撮影所入所4年目の初監督作品で山中貞雄の再来と評された。 http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/schedule/
『春秋一刀流』
1939(昭和14)年日活太秦作品/74分・モノクロ
原作・監督・脚本:丸根賛太郎 撮影:谷本精史 音楽:高橋半 録音:佐々木稔郎 美術:鈴木孝俊 助監督:安田公義
出演:片岡千恵蔵(平手造酒)、澤村國太郎(笹川の繁蔵)、河部五郎(勢力の富五郎)、市川小文治(飯岡助五郎)、原健作(只木厳流)、香川良介(医者仁庵)、田村邦男(須賀山の多駄平)、志村喬(多聞重兵衛)、轟夕起子(繁蔵の妹・お勢以/多摩川撮影所特別出演)、衣笠淳子(繁蔵の妻・お雪)、香住佐代子(多駄平の女房・お菊)、比良多恵子(身投げ娘・おみね)、常盤操子(助五郎の女房・お勝)、小松みどり(お寺掃除ばあさん)
千葉周作の道場を破門になり、今では用心棒稼業に身をやつす浪人・平手造酒。ある日彼はかつて同じ門下であった只木厳流に出会った。厳流も又、しがない用心棒。お互い現在の手当があまりに少ないので、いま評判の道場、飯岡助五郎の所へ行こうと意気投合。その夜、訪れた宿で飯岡の非道を耳にした二人は彼と対立する笹川繁蔵の許へ身を寄せることに心を決める。やがて時が経ち、造酒の名は出入りのある毎に売れていった。そんなある日、造酒は出入りの傷でふせる厳流を見舞った。すっかり弱気になった厳流に、用心棒から足を洗って小さくてもいいから道場を持とうと夢を語るが・・・。
1928(昭和3)年に片岡千恵蔵はマキノ映画から独立して、「映画がメシより好き」という連中を集めて「千恵蔵プロダクション」を創設、“明朗時代劇”を標榜し多くの佳作をリリースする。1937(昭和12)年に日活からスタッフごと招かれた千恵蔵はプロダクションを解散し日活に移籍。以降、ややマンネリ気味になっていた千恵蔵は、菅沼完二門下・丸根賛太郎の本作脚本を読んで気に入って、他の監督での映画化を試みるが、当時、助監督であった丸根は自分が監督でなければ脚本を渡さないと粘り、見事監督の座を勝ち取った。伊藤大輔の映画に触発され京都帝国大学時代から菅沼監督の個人助監督を勤めていた丸根は1935(昭和10)年に日活京都撮影所に入所、そして、4年目にして本作で監督デビューを果たし、第一作にして山中貞雄の再来と評された。アウトサイダーながら一片の夢を抱き、身一つで懸命に生きる若者達。“出入り”の度に名は上がるが、夢には一向に近づかない。裏街道で身を立てて行くには純粋すぎた、彼らの小さな夢は武術だけでは勝ち取れず、一人、また一人と死んで行く。戦火の拡大する中、夢を抱いた若者達が召集され、戦場に向かう、そんな時代を背景に、“無念”というより“無常”を志向した本作は、観るものに深い感銘を与えた。