10/10/2026
とある休館日……当館の印刷担当と技術担当、そして開館から機械類の修理をしてくれている機械担当2名が、平台印刷機の前でなにやら整備中。
普段は、自動で機械の動きだけ見ていただいている当館の平台印刷機ですが、時間のある時にこうやって地道に調整しています。
前回の調整時に、インキ壺をみていた印刷担当が、「呼び出しの位相がズレてる気がするから調整したい」とのこと。
呼び出し? 位相?
印刷機にインキを供給するインキ壺には、①元ローラーと②呼び出しローラーの2本がついています。この2本のローラーのタイミングが合っていないそう。インキ壺に接した元ローラーがゆっくり回転することで壺からインキを取り出し、それを呼び出しローラーに渡します。呼び出しローラーは上下に動いており、元ローラーに接している間にインキをもらうことができます。
ただ、当館の平台印刷機について、印刷担当は、「元ローラーの回転が止まってから呼び出しが接してるから、ほんのちょっとしかインキがもらえない」と首をひねっています。一般的な枚葉印刷機の感覚だと、元ローラーが回転してる最中に呼び出しローラーがくっついてインキを持っていくそうです。
元ローラーと呼び出しローラーの動きを制御しているカムの向きを変えてみたものの、タイミングには影響せず。
そもそも、元ローラーと呼び出しローラーのタイミングは、ふだん調整するような箇所ではないらしく、100年近く前のものともいわれる印刷機は、現在のタイミングが正解なのか? 古すぎて、カム自体が摩耗している可能性が高く、正解の動きがわかりません……。
ところで、当館の平台印刷機は「ワーフデール型」と呼ばれる、停止円筒式(Wharfedale-type stop-cylinder press)の印刷機です。
停止円筒?
圧胴(シリンダー)が、版盤が進むときだけ回って印刷し、版盤が戻るときはピタッと止まります。止まっている間に次の紙を差し込むので、紙の位置がずれにくいのが特徴です。胴には切り欠きがあって、止まっているときはそれが下を向くので、戻ってくる版盤は胴に当たらずに下を通り抜けていきます。
このタイプは、1850年代の後半、イギリスで生まれました。
ワーフデールは当初、特許が取られなかったため、イギリス国内だけでなく世界中で同じ形の印刷機が作られ、イギリスでは「ワーフデール」がこのタイプの印刷機の代名詞となりました。
当館の印刷機には、メーカーを示す銘板も刻印もありません。ネジはイギリス規格。おそらく日本で製造されたワーフデール型の印刷機と考えています。
Our press is a Wharfedale-type stop-cylinder press, believed to have been built in Japan. As it is an old machine, keeping it repaired has been a real challenge. If you own a working Wharfedale stop-cylinder press, we would love to hear from you — manuals, parts, photos of the mechanism, stories from running one — any information at all is welcome. Please leave a comment on this post, or contact us through the inquiry form linked in our profile.