05/10/2026
10月1日(木)入館者、バイク限定モデルさんです。
【オーナー便り】
―ブラジルからのカップルのご来館―
国民性からか、リオのカーニバルの国だけに、終始 にこやかに観覧していただき、ついこちらも行った事もないブラジルの気分になって温かい交流が出来ました。
携帯の翻訳機を使って私の親戚の方がブラジルのサンパウロに移民して現地でクリーニング店を開いたところ仕事が繁盛して成功したので、ブラジルの人には大変お世話になりましたと謝意を伝えると、親近感からお二人は大変よろこんでくれました。
私が子供の頃に親から聞いた話では、日本政府の移民政策でしたので疑う余地もなくコーヒーの栽培を目的に多くの日本人が移住しましたが、期待していた想像と現実は全くかけ離れたもので、現地で与えられた開拓地の原野は養分のない不毛の土壌で、とてもコーヒーの栽培等、出来るような環境ではなかったそうです。移民した多くの人達は、その後の生活に困窮したそうです。
そうした状況から当時、日本に里帰り出来る経済的に余裕のある家族はまれだったと里帰りしたご本人からお話を聞いています。
この事は、石川達三氏の小説「蒼氓(そうぼう)」でも過酷で凄惨なブラジル移民の実態を知る事が出来ます。
戦前・戦後の日本の生活は厳しく、S25年に福岡県の宝珠山村の田舎に生まれた私もそうした生活環境の中で育ちました。
幸い家は農家で父が役所勤務でしたから、贅沢は出来ないものの両親の庇護のもと家の田畑で収穫した自給自足を基本に衣・食・住に事欠くことはありませんでした。
そんな時代の境遇から当時としては遠い異国の空の下のブラジルを新天地として家族での一大決心の末、移住に希望を託しての事だったそうですが、二度と日本の地を踏む事も叶わずに生涯を終えた方も多かったようです。
親戚のご家族の方は早めにコーヒー栽培に見切りをつけてクリーニング店を開いた事で、日本への里帰りを定期的にしていましたから、私も何度かお会いして私のミュージアムも見学していただきました。
当館の三階のブラジル製のサイドカー付 4人乗りバイク「アマゾネス」のコーナーには当時の日本からの移民船「ブラジル丸」の模型を展示しています。
そうした先人の苦労や私達の子供の頃の質素な生活からすると、今日の豊かな生活さえもが当たり前のようになれきってしまった私達の日常ですが、お金・物・情報に支配されすぎて心の豊かさを感じられなくなっている事に気付かされます。
岩下コレクションの展示品はすべて人類の歴史遺産です。
海外・全国から毎日ご来館いただいているお客様は、私達の先祖・先哲の皆さんの作品と出会い触れ合う事で何らかの会話(対話)しているように見えます。
間違いなく見学を終えた時の表情と入館時の表情とは別物です。
レガシーとの出会いに感激し笑顔で帰って行かれるお客様の姿を見ていると、無意識の中で誰もがどこかで過去・現代・未来とつながっている事を感じます。
岩下コレクションの理念は「未来は歴史に学べ」です。皆さんの人生の指針になれる事を願っています。